2008年2月3日

序盤から力強いグラウンドストロークを武器に相手を押し込んでいった中村。オゼゴビッチにつけ入る隙をまったく与えない。「相手はクロスが得意なので、センターを中心に組み立てたのが見事にはまった」。第1セットは中村が試合前にイメージした戦略通りのプレーを発揮。その結果、相手に与えたポイントはわずか7つという完璧な内容で、6−0、19分であっさり先取。「中村のプレッシャーがすごくて何もできなかった」とオゼゴビッチが舌を巻くほどの出来を見せた中村がこのまま試合を支配するかに思われた。
ところが第2セットに入ると試合は思わぬ方向へと展開する。「このまま終わる訳にはいかないと思った」と反撃を試みたオゼゴビッチが緩いスライスボールを駆使して中村のペースを乱し始める。第1、第9ゲームをブレークしたオゼゴビッチが6−4でこのセットを取り返し、試合はファイナルセットへと突入する。「相手のスライスにつきあってしまった。もっと踏み込んで打っていけば楽に勝てたと思う」と試合後、中村が反省点としてあげたように相手の術中にはまり、思わぬピンチに陥った。
ファイナルセットに入っても苦しい場面が続く中村は第1、第3ゲームを連続でサービスダウン。なかなか元のリズムを取り戻せない。「あの数ゲームは自分にとって、とても大切な場面だった。サービスを失っても粘り強く頑張れたことが勝利につながったと思う」と試合後、本人がターニングポイントにあげたように、この窮地を乗り切った中村が次第に積極的なプレーを再開。攻撃的なテニスが実を結んで第4ゲームから5ゲーム連取。6−2でファイナルセットを制し、日本に勝利をもたらす3勝目を挙げた。

「負けたのは残念だが、力は出しきった。今日は中村のリターン、ストロークが良く、歯が立たなかった」と試合後、完敗を認めたオゼゴビッチ。一方、「今は勝ててホッとしている。久しぶりのフェドカップということで初日は緊張したが、今日は思ったほどの緊張もなく、勝つことだけを考えてコートに入れた。これは私だけでなく、みんなの勝利」と中村。プレッシャーのかかる大舞台で、日に日に成長を見せる24歳の浪速っ子が最後に屈託のない笑顔を輝かせた。
日本テニス協会広報委員 成瀬 悦朗